第二章 飛竜
ライールとシャクスの足音が段々と遠ざかり、部屋には町の生活の生活のざわめきが遠くさざめくのみとなった。ユキは改めて飛竜の方へと向き直る。
「飛竜、君がどうしても僕たちと来たいというのなら、その本当の理由を嘘偽りなく話してほしい。ううん、実際、話してくれないと君を連れていこうか検討することもできないよ」
ユキはまず、飛竜が自分たちに着いて行きたいという本当の理由が知りたかった。クェルツェルの名前を出されただけでは、彼の意図はつかめない。
「本当なら、お前らの素性も聞きたいとこなんだけどな」
トモがため息交じりに言う。
「まぁ、とりあえずはユキの意見を尊重するよ」
正直、トモの申し出はありがたかった。確かに、飛竜たち三人の素性も気になるところではあるが、ユキはその素性を聞いたところでトモが納得できるとは思っていない。おそらく、魔のモノの概念に近いような、普通の日常では知りえないどこか別の特別なところから来たのではないかとユキは見当をつけていた。
「ゆっくり、少しずつでいいから、ね。飛竜、お願い」
じっと飛竜の翡翠色の双眸を見つめる。グッと飛竜が空気を飲む音が聞こえたような気がした。そして、少し迷ったそぶりを見せてから飛竜がとうとう口を開いた。
「故郷、月から来た。ライとシャクとは違う所。もう帰らなきゃ」
相変わらず、ユキには飛竜の言ってる意味がわからない。通訳してもらおうとユキはそっとトモの方をうかがうと、トモは唖然とした表情を浮かべていた。
「ト、トモ……?」
「飛竜……おまえ……月から来たって本当なのか……」
トモの言葉に今度こそユキも言葉を失う。飛竜はこくりと一度だけ首を縦に振った。
「竹の中にいたの。それをシャクが。それで、二人に育てられた。けど、もう帰らなきゃ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ竹ってなんなんだ……そもそも月から来たってどういうことだよ!」
トモが混乱をそのままに声に出した時、扉が勢いよくあけられた。
「タケ(竹)とは広義には、イネ目イネ科タケ亜科のうち、木本(木)のように茎が木質化する種の総称でえ、通常の木本と異なり二次肥大成長はしなくって、これは草本(草)の特徴なんだよぉ。だから、タケが草本か木本かは意見が分かれるんだよねえ。ただぁ、タケの近縁種は全て草本で木本は存在しないから、近縁種に限った話題では、近縁の完全な草本と対比してタケは木本とされることが多いんだよぉ。勉強になった? 非魔術師サン。ちなみにウィキペディアから引用したよぉ」
長台詞とともに部屋に入ってきたのは、ユキと瓜二つ、いや、同じ顔をした少女だった。しかし、ユキの髪が亜麻色なのに対して、彼女の髪は昏い藍色であり、ユキと同じくオッドアイではあるが、右目は目が覚めるような青で左目はどんよりと淀んだ灰色をしていた。服装もユキの物とほとんど変わらないが、その色は毒々しく、禍々しい。にたにたと薄気味悪い笑みを浮かべており、何を考えているのか読み取れない。その彼女の後ろには、トモと同じ顔をした少女が控えていた。しかし、トモの鮮やかな緋色の髪と瞳に対し、透明感のある涼しげな水色の髪と瞳をしていた。表情は暗く、その眼にははかり知れない嫉妬が渦巻いていた。
「アタシ達の説明ご苦労さぁん」
「君たちは……いったい……」
「んふ。もう気づいてるくせにい」
ユキの問いかけに、ユキと同じ顔をしたその少女はくふりと笑った。そして。
「今を時めく、2Pカラーの輝きぃ! アンチカラーユキちゃんことアユちゃんとぉ」
「同じく、アンチカラートモのアト……なんで私がアンチなんて言われなきゃいけないんだろう……ズルいよ……おかしいよ」
「あっ、ちなみにい、こっちがアンチカラー名乗ってるのはあんたたちへの配慮だよぉ★ アタシ達も清く正しく絶対的にユキとトモだって言っても? そっちは? 理解できないだろぉからねえ! キャハハッ★」
アンチカラーを名乗る二人に、ユキとトモは動揺を隠せなかった。無意識のうちに飛竜を後ろ手にかばうが、そんなユキとトモに飛竜はそっと手を添える。
「お迎え……」
「こんな禍々しいのが月からの使者なわけあるか!」
このカオスな展開にとうとうトモは頭を抱えた。しかし、ユキには一つだけこの状況に思い当たる節があった。
「そうか……今日は……エイプリルフールだったっけ……零斗め、2Pカラー妄想が止まらないからってこんなわけのわからないことしでかしやがって……!」
サーセン。そんなわけでエイプリルフールです。この話は実際の個人・団体・砂漠の逃亡者本編とは何ら関係ありません。twitterで呟きまくってた2Pカラーなユキトモが可愛くてかわいくて仕方がない今日この頃です。
「飛竜、君がどうしても僕たちと来たいというのなら、その本当の理由を嘘偽りなく話してほしい。ううん、実際、話してくれないと君を連れていこうか検討することもできないよ」
ユキはまず、飛竜が自分たちに着いて行きたいという本当の理由が知りたかった。クェルツェルの名前を出されただけでは、彼の意図はつかめない。
「本当なら、お前らの素性も聞きたいとこなんだけどな」
トモがため息交じりに言う。
「まぁ、とりあえずはユキの意見を尊重するよ」
正直、トモの申し出はありがたかった。確かに、飛竜たち三人の素性も気になるところではあるが、ユキはその素性を聞いたところでトモが納得できるとは思っていない。おそらく、魔のモノの概念に近いような、普通の日常では知りえないどこか別の特別なところから来たのではないかとユキは見当をつけていた。
「ゆっくり、少しずつでいいから、ね。飛竜、お願い」
じっと飛竜の翡翠色の双眸を見つめる。グッと飛竜が空気を飲む音が聞こえたような気がした。そして、少し迷ったそぶりを見せてから飛竜がとうとう口を開いた。
「故郷、月から来た。ライとシャクとは違う所。もう帰らなきゃ」
相変わらず、ユキには飛竜の言ってる意味がわからない。通訳してもらおうとユキはそっとトモの方をうかがうと、トモは唖然とした表情を浮かべていた。
「ト、トモ……?」
「飛竜……おまえ……月から来たって本当なのか……」
トモの言葉に今度こそユキも言葉を失う。飛竜はこくりと一度だけ首を縦に振った。
「竹の中にいたの。それをシャクが。それで、二人に育てられた。けど、もう帰らなきゃ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ竹ってなんなんだ……そもそも月から来たってどういうことだよ!」
トモが混乱をそのままに声に出した時、扉が勢いよくあけられた。
「タケ(竹)とは広義には、イネ目イネ科タケ亜科のうち、木本(木)のように茎が木質化する種の総称でえ、通常の木本と異なり二次肥大成長はしなくって、これは草本(草)の特徴なんだよぉ。だから、タケが草本か木本かは意見が分かれるんだよねえ。ただぁ、タケの近縁種は全て草本で木本は存在しないから、近縁種に限った話題では、近縁の完全な草本と対比してタケは木本とされることが多いんだよぉ。勉強になった? 非魔術師サン。ちなみにウィキペディアから引用したよぉ」
長台詞とともに部屋に入ってきたのは、ユキと瓜二つ、いや、同じ顔をした少女だった。しかし、ユキの髪が亜麻色なのに対して、彼女の髪は昏い藍色であり、ユキと同じくオッドアイではあるが、右目は目が覚めるような青で左目はどんよりと淀んだ灰色をしていた。服装もユキの物とほとんど変わらないが、その色は毒々しく、禍々しい。にたにたと薄気味悪い笑みを浮かべており、何を考えているのか読み取れない。その彼女の後ろには、トモと同じ顔をした少女が控えていた。しかし、トモの鮮やかな緋色の髪と瞳に対し、透明感のある涼しげな水色の髪と瞳をしていた。表情は暗く、その眼にははかり知れない嫉妬が渦巻いていた。
「アタシ達の説明ご苦労さぁん」
「君たちは……いったい……」
「んふ。もう気づいてるくせにい」
ユキの問いかけに、ユキと同じ顔をしたその少女はくふりと笑った。そして。
「今を時めく、2Pカラーの輝きぃ! アンチカラーユキちゃんことアユちゃんとぉ」
「同じく、アンチカラートモのアト……なんで私がアンチなんて言われなきゃいけないんだろう……ズルいよ……おかしいよ」
「あっ、ちなみにい、こっちがアンチカラー名乗ってるのはあんたたちへの配慮だよぉ★ アタシ達も清く正しく絶対的にユキとトモだって言っても? そっちは? 理解できないだろぉからねえ! キャハハッ★」
アンチカラーを名乗る二人に、ユキとトモは動揺を隠せなかった。無意識のうちに飛竜を後ろ手にかばうが、そんなユキとトモに飛竜はそっと手を添える。
「お迎え……」
「こんな禍々しいのが月からの使者なわけあるか!」
このカオスな展開にとうとうトモは頭を抱えた。しかし、ユキには一つだけこの状況に思い当たる節があった。
「そうか……今日は……エイプリルフールだったっけ……零斗め、2Pカラー妄想が止まらないからってこんなわけのわからないことしでかしやがって……!」
サーセン。そんなわけでエイプリルフールです。この話は実際の個人・団体・砂漠の逃亡者本編とは何ら関係ありません。twitterで呟きまくってた2Pカラーなユキトモが可愛くてかわいくて仕方がない今日この頃です。